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「…おいしい。」
アイスを一口分掬ったスプーンを渡されて、口に入れれば、すごく私の好きな味で。
思わず言葉を漏らせば、白藤さんの微笑ましいと言わんばかりの柔らかな笑顔が返された。
「栞ちゃんの好きそうな味だと思ったんだよね。」
「これ、すごく好きです!」
「やっぱり。」
ふわり。
浮かべられた笑顔に、胸が苦しくなる。
これだけ店に通いつめていれば、好みの味を覚えてもらえて当然なのかもしれない。
けれど、どうしたって胸が高鳴ってしまう。
一つ期待するたびに、傷が増えていく。
傷つく理由が、増えていく。
そんなの、わかってるのに。
彼を想って、想えば想うだけつらくなるのなんて、ちゃんと分かっているのに。
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