◆Prologue

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 アイスを差し出されて、それを受け取って。 わざと畏まって、とっくの昔に覚えた値段を言われて、それに応えて。 くるりと踵を返し、店内のテーブルに歩き出すと、なぜか今日は声を掛けられて。 いつも通り、食べていくだけですよ? そう思って、小首を傾げながら白藤さんを伺えば、少しだけ困った顔をしていた。 そんな顔を見せられたら、私のほうが困ってしまう。 「どうか、しました?」 「いや、なんていうか…栞ちゃんってどこに住んでるの?」 「…え?」  唐突な質問に、完全に固まってしまう。 ちょっと待って、脈絡がなさ過ぎてついていけない。 あれ、白藤さんって私が住んでるところ知らなかったっけ。 それ以前に何でそんなこと聞くんだろう。 なんで、どうして?
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