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「いや…ほら、だいぶ日が短いしさ。
女の子の独り歩きって危ないでしょ?」
ぽかん。
そんな効果音がぴったりだった。
フリーズして、一瞬の後どうにか目線だけで疑問符を伝えれば、白藤さんは、あー、と声を出してから少し首の後ろを掻いた。
視線が少し、宙を泳ぐ。
「一応ね、心配してるの。
俺は俺なりにね、分かる?」
「え、あ…はい。」
「…なんでそんなに驚いてるの?」
「え、や、なんていうか…あまりに予想外で。」
心配。
そんな一言でこんなにも胸が高鳴るなんて知らなかった。
白藤さんが暮れる言葉の一つ一つが私の胸に降り積もるたび、私はそれにいつも、胸を高鳴らせるんだ。
どきどき、まではいかなかったけれど、とくん、とくん、と、確かな音が耳の奥で聞こえる。
どうしよう、絶対私今、情けない顔だと思う。
ふにゃん、と、力の抜けた笑顔しか浮かべることができない。
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