◆Prologue

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「いや…ほら、だいぶ日が短いしさ。 女の子の独り歩きって危ないでしょ?」  ぽかん。 そんな効果音がぴったりだった。 フリーズして、一瞬の後どうにか目線だけで疑問符を伝えれば、白藤さんは、あー、と声を出してから少し首の後ろを掻いた。 視線が少し、宙を泳ぐ。 「一応ね、心配してるの。 俺は俺なりにね、分かる?」 「え、あ…はい。」 「…なんでそんなに驚いてるの?」 「え、や、なんていうか…あまりに予想外で。」  心配。 そんな一言でこんなにも胸が高鳴るなんて知らなかった。 白藤さんが暮れる言葉の一つ一つが私の胸に降り積もるたび、私はそれにいつも、胸を高鳴らせるんだ。 どきどき、まではいかなかったけれど、とくん、とくん、と、確かな音が耳の奥で聞こえる。 どうしよう、絶対私今、情けない顔だと思う。 ふにゃん、と、力の抜けた笑顔しか浮かべることができない。
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