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スカーは初めて見た
蘭の告白を蹴ったときも、桜の木から落ちて腕を骨折したときも、ボルド郷から怒られたときでさえみたことのなかった液体を
蘭「あなたはわたしたちの希望なの。太陽なの。太陽がなくなってしまったらどうなると思う?大地は枯れ果て夢をもたなくなるの。太陽は決して輝きを失うことはないわ。どんなに汚名を浴びせられてもね。だから生きて欲しいの。民のため…いえ、わたしのために生きて…あなたが生きているだけでわたし…幸せです」
スカーの空っぽだった心底にどっしりとしたなにかがのし掛かった
スカーは声を発することができなかった
薬品が利いているから?
違う
考えているから?
違う
今までにない程の言葉の重みに耐えきれないためである
(なんだこれは…そうだ。あれに似ている。戦に向かう前の民達の歓声に…)
スカー「蘭よ…共にに逃げてはくれまいか。大陸最後の国アリシアへ」
蘭「…え?無理よ。わたしは超大国桓のボルド王の第一王女だもの。父上が許すはず…」
スカー「おれの汚名も許されることはない。二人で許されることのない楔を共に共有していかないか」
蘭「…スカー!」
三日後…
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