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翌日、朝七時に俺達は城の中庭に集合していた。
「…むぅ…眠い…」
ほとんど閉じかけた目を擦り、フラフラしているトゥーナを苦笑しながら支える。
「さて、皆忘れ物とかいない人はいないね?
いなかったら挙手して申告してね~」
同じく、と言うより明らかに立ったまま眠てそうなスノウを支えるリョウが、そんなギャグを言う。
これは、ツッコミを入れた方が良いんだろうな。
「いないのに、か?」
「ジュン、ナイスツッコミ!」
リョウが、素敵笑顔で親指をサムズアップした。
そんなにボケとかギャグを放置されてきたのか?
「で、どうやって行くんだ?」
トランクケースを横に置いたギルバートさんが、リョウに聞いた。
今は、昨日会った時の軍服ではなく、黒のスラックスに白のワイシャツ、黒の上着という、ネクタイのないスーツに似た私服姿になっている。
そんなギルバートさんをリョウは、ポワ~ンとした顔で見ていた。
「おい、どうした?」
「え、あ、えっと、ギルの私服って新鮮だったから……」
「やはり、おかしかったか?」
「うぅん、素敵だよ♪」
「そ、そうか」
そして、急にイチャつき始めた。
おい、何だ?当て付けか?
「コホン、お姉ちゃん。早く行きましょう?」
そんな空気をぶち壊すようにアニエスが咳払いをしてリョウを促した。
アニエス、ナイス!
って何様だよ、俺は。
「はいはい、じゃあアニエス。スノウをお願い」
アニエスにスノウを預けて、リョウは前に進み出た。
「来い、黒鐵!」
「『闇より暗き深淵より出でし、其は――
――科学の光が落とす影!』」
リョウの影が前に伸び、そこから一体の巨人が現れた。
『ア〇ラ・マキーナ 黒鐵・改』
ニ体のアスラ・マ〇ーナ、黒鐵と白銀を組み合わせ、鋼と同じ完全な空間制御能力を持つ主人公の機体だった。
「黒鐵・改とはまたマニアックな物を出したな」
黒と白が入り混じった機体を見上げて、半ば呆れるように俺は呟いた。
この継ぎ接ぎの魔神は、元の能力が単体であるため、出力は鋼色の魔神に劣るところがある。
「次元移動じゃなくて、座標移動だからね。これでも十分いけるはずだよ」
「まぁ、そうだな」
俺とトゥーナは、鋼色の魔神の次元移動でミスって此処に来たんだけどな。
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