33900人が本棚に入れています
本棚に追加
/693ページ
「うおー、何これ!すっげぇー!」
継ぎ接ぎの魔神を見て凄くはしゃぐライ。だが、一つ言わせてくれ。
一同「何で、もうアロハシャツ着てるんだよ!」
先走っているにも程があるだろ!?
休日の青タイツか!?
そんなツッコミは無視するように、白と黒入り交じった魔神の足元から現れた巨大な魔方陣が輝き、視界が白く染めた。
――――――
――――
――
王族以外「おぉ~~!」
再び輪郭を取り戻した視界に、俺達は感嘆の声を上げた。
海猫が飛ぶ広い青空、遠くに見えるコバルトブルーの海。
ここは何処かの公園らしく、大きな噴水がある。
足元は白亜の石畳。周りにいる人々は、皆呆然としてこちらを見ている。
まぁ、いきなり、魔方陣が現れて大人数と巨人が出てきたら驚くわな。
……キィーン……キィーン……
とその時、甲高い音が聞こえた。
耳鳴りか?
いや、耳鳴りにしてはあんまり不快感が無い。
それに、これは……。
呼んでる?
この音は、俺を呼んでるのか?
「ジュン、どうかした?」
声を掛けられて、俺は、思わずビクッと肩を震わせてしまった。
声がした方を見るとリョウが少し心配そうにこっちを見ていた。
それと同時に耳鳴りも収まった。
「大丈夫?」
「あ、あぁ、何かここに来て妙な耳鳴りがして……」
「耳鳴り?」
「もう、遠ざかったみたいだ。行こう」
迷いを振り払うように頭を振って、俺は歩き出す。
すると、トゥーナが、前方から小走りでやって来た。
「…ジュン…どうしたの…?」
「何でもねぇよ。
ちょっと耳鳴りがしただけだから」
「…ホント…?」
「あぁ」
すると、トゥーナは安心したように笑った。
「…行こ…?」
「あいよ」
トゥーナは、俺の手を取って歩き出した。
ウィンディアは、内陸部に向かって高くなる地形をしているらしく、王族の別荘は中腹にあたる部分に位置していた。
「これは………もう、お屋敷だね」
「あぁ、全くだ」
別荘を前に、俺とリョウは呆然としていた。
建物は南国の雰囲気を壊さない白亜で統一され、玄関に向かう道には、小さな噴水が配置されていた。
最初のコメントを投稿しよう!