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文化祭二日目。
あぁ、昨日から嫌な予感はしてたんだ。
「なぁ、ソフィア」
「何かしら?」
「その手に持ってるのはなんだ?」
「耳と尻尾よ」
「まさか、それを俺に着けろと?」
「えぇ、昨日の条件よ」
「うぐっ…くそ…!」
条件を承諾したのは自分なので仕方なく、黒い二つの装飾品をソフィアから受け取る。
ちなみに、今の俺の格好は昨日のB★RSでは、つまらないから髪は左右非対称のツインテからロングにして、服装はGGO使用にしてある。ついでに言えば右腰にあるスナップリングには光剣、左腰のホルスターにはファイブセブンがそれぞれ収まっている。
ソフィアから受け取った二つの装飾品の内の尻尾を先に取り付けて、次いで耳を頭に付ける。
すると、不思議な事に尻尾が左右にゆっくりと揺れ、耳はピクピク動いている。
なんて、無駄なギミック。
「あら、結構似合うじゃない」
「そーかい。
てか、今更だけど、昨日のあの流れで犬耳と尻尾とは俺も予想外だったよ」
正直猫耳を着けさせられるもんだとばかり思ってた。
「アンタ、何言ってるのよ」
「あ?」
「それは犬耳じゃないわ!狼耳よ!!!」
「違いが分からん!!?」
「垂れてないでしょ!」
「犬の耳が全部垂れてると思ったら大間違いだぞ!?」
確かに昨日のCクラスでは全部垂れたけどさ。
「それに、犬耳より狼耳の方が少し大きいわ!」
「だから違いが分からん!!」
「なによ? 嫌ならうさ耳にするわよ!」
うさ耳!?
「嫌だ! そんなの着けるくらいなら狼耳の方がマシだ!」
狼の耳を守るように手で押さえてソフィアを睨む。
「そう。じゃあ、頑張りなさい?」
「あ、あぁ」
なんか、良いように乗せられた気がする…。
「…ジュン…」
「ん?どうした? って猫耳?」
トゥーナの格好は昨日と同じメイド服だが、眼帯の代わりに今日は猫耳と尻尾を着けていた。
「…うん…似合ってる…?」
「あぁ、似合ってるぞ」
いつもの癖で頭を撫でると気持ち良さそうに目を閉じる。
「なんかホントに猫みたいだな…」
俺がボソッと苦笑混じりにそう言うとトゥーナが上目遣いで手を招き猫のようにする。
「なんだ? 聞こえてたのか?」
「…にゃー…」
「ゴフッ!?」
この時、赤い忠誠心が出なかったのは奇跡に等しいかった。
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