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「…えっと…えっとね…」
「焦んなくても時間なら幾らでもあるぞ?」
「…う、うん…あの…私…!」
バッと顔を上げたトゥーナの顔は真っ赤になっていて、目は不安そうにうるうると揺れていた。
その顔は、これから告白しようとしている女の子のようで
「…わ、私…ジュン…の…こ「お二人さーん! そんな所に居らんとこっち来て一緒に騒ぎましょ!」
トゥーナが何か言おうとした所に馬鹿が被せた為、聞こえなかった。
そして、その馬鹿は俺とトゥーナから大体二メートル程離れた場所をクルクルとバレリーナのように回転していた。
「空気読めやァァァァァァァァァ!!! ロードォォォォォォォォォォォォ!!!」
「へっ? がふぅっ!!!?」
ステージの上から降りてロードを一発アッパーでぶん殴る。
わりとガチで殴ったけどギャグキャラ要員のロードなら大丈夫だろ。
現にマンガみたいに回転しながらブッ飛んでるし。
まぁ、今はそれより。
「トゥーナ、さっきなんて言おうとしたんだ?」
「…な、なんでもない…!」
「そうか?」
「…うん…なんでもない…」
「なら、いいけど…」
トゥーナはなんでもないって言ってるけど実際はなんて言おうとしたんだろ?
気になる。
この時、俺はこんな事を考えていたので、後ろでトゥーナが小さくため息を吐いていたのに気付かなかった。
その後、何事もなく後夜祭は終了した後、一年Aクラスは学園の近くにファミレスのような場所に行き、盛大に打ち上げを行いその代金を全額カインに持たせた。
「俺の臨時ボーナスがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」って言ってたからほぼ全て無くなったとみて間違いないだろう。
そんなカインに笑いながら「ざまぁ」って言ったら「お前、人間じゃねぇ!」って言われた。
失礼な俺はチートだが、人外ではない。
こうして俺の異世界で初めての文化祭は幕を閉じた。
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