第三のチート接近的な何か

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  「地帝の予想外の年齢は置いておいて、これからどうするかを考えるぞ」 脱線した話をエルザさんが軌道修正したが、無数のガーディアンやゴーレムⅠを遠隔召喚出来る奴に対しての対策など簡単に思いつく筈もなく会議室を沈黙が支配する。 「対策云々の前にそのアリスの目的って一体何なんだ?」 「それは…」 その沈黙を破った風帝の言葉にカイトが言い淀む。 「俺と覇帝の殺害と俺達が邪魔したくなる何かだ」 言い淀むカイトの代わりにサラッと何でもないように言う。 俺の言った内容に帝達も驚きを隠せないようだったが、その中で風帝だけが俺とカイトを睨んでいた。 「どうした? 風帝。何か言いたい事でもあるのか?」 ずっと睨んでくるからこっちから聞いてみた。 「あぁ、お前達に言いたい事がある」 「何だ?」 まぁ、大体何が言いたいかは分かるけどな。 大方、学園が襲撃されたのは俺達のせいだとでも言いたいんだろ? 「今の話を聞く限り学園が襲撃されたのはお前達のせいじゃないか!」 「だったら何だ? 俺達に死んでくださいとでも言うつもりか?」 「あぁ、そうだ! 総帝! 覇帝! お前達が死ねばアリスが襲撃してくる事もなくなる筈だ!」 「なっ…!」 「風帝!! お前何を言っているのか分かっているのか!!」 風帝の言った事にカイトは絶句し、エルザさんが怒鳴り、風帝を睨む。 他の帝もエルザさんと同じように怒鳴りこそしなかったが、風帝を批判的な目で見ている。 その中でも、闇帝ステラと全帝が今にも掴み掛からないか心配になるくらいの怒気まで孕んでいる。 でも、まぁ、風帝の言う事も間違いではないんだよな。 国中の多くの命とターゲット二人の命。 どっちが重いと聞かれれば、道徳的に言えば両方だが、客観的且つ合理的に言えば前者だ。 俗に言う九を救う為に一を殺すというヤツだ。 だけど、ソレが成立するのは一を殺せば確実に九を救う事が出来る場合に限られる。 「確かに風帝の言う事には一理ある」 「総帝!?」 「だったら…!」 「だがな、俺と覇帝が死んだ後にアリスが侵略活動をした場合。 風帝。お前は神帝に勝てるのか?」 「…!」 「そういった可能性が捨てきれない以上俺は死んでやらない。 そんでもって、アリスの企んでる事をぶっ潰す。 それが俺の意見だ」
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