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弟の日夏-ニチカ-が全寮制の男子高に入学して早一年と二ヶ月。
そろそろ梅雨入りか、という頃に、いつもはメールくらいしかしてこない弟から、珍しく電話がかかってきた。
『氷月-ヒヅキ-?』
「どうした、日夏」
『どうってことでもないんだけどさ、ちょっと氷月の声聞きたくて』
日夏がそんな台詞を吐くことも珍しい。
精神的に弱ってるのか?
「日夏、まさか虐められてるとか?」
冗談めかして言えば、ちっ、と舌打ちが聞こえた。
『やっぱ止めときゃ良かった。ひぃは勘が鋭いし』
「ホントに虐められてんのかよ。愚痴くらいなら聴いてやってもいい」
『何その上から目線』
日夏は少しだけ笑ってから、ことの顛末を話しはじめた。
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