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くそったれ! こんな開けた場所で銃撃戦なんて、一体何考えていやがるんだ! この砂漠地帯で戦闘が始まって数時間。機関銃の銃弾が頭上を掠め、どっちの陣営から放たれたかさえ分からない榴弾が目の前に着弾するたび脳裏に浮かぶ、軍上層部への罵詈雑言が口から漏れないよう気を付けながら、俺はうだるように熱い砂漠に身を埋めていた。 姿勢を低くして銃弾の嵐が過ぎ去るのをじっと待ち、大隊長の指示で一斉に駆け出す。また大隊長の指示で我先にと地面に伏せる。遅れた奴が嵐に身を引き裂かれ、一拍遅れて地面に倒れる。 まるで生産性の無い行軍を幾度となく繰り返し、第三十五歩兵大隊の戦力は半数にまで減っていた。その間敵との交戦は数えるほどしかない。 その八割が兵士ではなく、兵器で占められている敵方の戦力分布からすれば、それも当たり前といえば当たり前だったが。
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