きみだからいい

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なんで、薮くん? なんて、付き合い出した時はみんなに言われた。なんでってなんで?って聞き返すと、「いや…だって…なあ……」なんて、歯切れ悪いったらないよ、もう。 だって好きになったんだもん。 そう返すと、だいたいみんな引き下がってくれる。涼介と龍ちゃんの同期コンビは半信半疑で「…ならいいけど。」、裕翔と大ちゃんは「そっか、両思い、いいな~!」なーんて。圭人は不思議そうに首を傾げて、雄也も「ふうん」、なんて言いながら頭を撫でてくれる。 「嘘付けよ」 で、残りの二人はこうな訳。 いつもみたいに呆れ顔のいのちゃんは、僕の目の前で肉まんを食べながら言った。 「お前がやぶに可愛く「好きになっちゃった★」とかマジ考えらんねえし」 「いのちゃん、僕はいつでも可愛いでしょ、何その言い方」 「そこかよ」 たまたま仕事場にむかうJRの駅前で一緒になったいのちゃんは、細い眼をさらに半眼にしながら言った。
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