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「スゲー!」
男達に、暴力を振るわれそうだった少年は私を見てそう言った。
「チッ、やっぱり助けなきゃ良かったかもしれませんね。」
ボソッっと呟いたため彼には聞こえなかったようだ。
まあ、聞こえたらまずいのだが。
すると、周りにいた男達は、チャンスだと思ったのか私に襲いかかってきた。
私は仕方なく、本当に仕方なくだが、神崎流護身術を使い彼らをいなした。
私より体格の良い彼らが次々と宙を舞った。
しかし、私は彼らを倒すことだけに集中していたため眼鏡を落としてしまった。
男を倒し襲われていた彼に声をかけた。
「あの、大丈夫ですか?」
そう言って手を差し出すと彼は顔を真っ赤にして、
「大丈夫だ。」
と言って一人で立ち上がった。
「頬が赤いけど殴られましたか?」
素直な質問だと思う。だって、彼の顔は真っ赤になっていたのだから。しかし、彼は首を横にふった。
今思えば、これが彼との初めて出会った瞬間だったのかもしれない。
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