渡る世界はバカばかり

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*** 「資料集163ページ、4の解説。じゃあ新川、読め」 「こほんっ。えー、ルイ14世はフランス絶対王政最盛期の国王であり、太陽王とも呼ばれる。太陽王って、漫画の異名みたいなもん? さすがフランス、時代の最先端のその先を突っ走ってんなあ。迷走だけど」 「新川、前にも言ったが、授業中は書いてあることだけ読め。お前の感想は聞いてないんだよ」 「さーせん。あー、んんっ。マザランが没した1661年から親政を始め、コルベールを登用して国庫の充実を図り、その財力で侵略政治を実施した。それにしても、こんなわがまま放題の王様の面倒見るとか、マザランさんもコルベールさんも苦労しただろうねえ。いやぁ、ほんとお疲れ様だよなぁ。というか――」 「もういい、わかった。俺が悪かった。読まなくていいから座れ」 「りょーかい」 「はぁ……続きは真島」 「うぇ、俺? にーかわサン、めんどくさいからって滅茶苦茶すんなよー。ま、いっけど。また、ヴェルサイユ宮殿をぞう……造営? あれ、にーかわサン、これ造営であってる?」 「あってるあってる」 「さんきゅ。えっと、造営して、フランスをヨーロッパ社会……じゃないや、社交界の中央……間違えた。中心に導いた。よーし、終わった!」 「こーへー、間違いすぎ」 「いやいや、そもそもにーかわサンが真面目に読まなかったせいだけど?!」 「他人の所為にすんなよ」 「うーわ、理不尽! でも俺、にーかわサンは好き!」 「はいはい、ありがとさん。俺も好きだぜ、こーへーのそういうバカなとこ」 「それなら俺、ずっとバカでいる!」 「お前ら、もう黙っとけ」 「「え、ヤダ」」
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