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森川和樹という人物を語るにあたり、「どや顔」という単語を外す事はできない。 友達に暴力を振るって怪我をさせたり、自身も教室で転んで怪我をしたり、ストライドを常に持ち歩き、親にライトノベルを捨てられたりーそんなことをさも当然の様に、やられていないも同然の様に、そうであるべきだと必然の様に、全てどや顔でやり過ごしてしまうのだ。 そしていつの間にか、彼はクラスの副委員長の座を掴んでいた。 まさに副委員長の中の副委員長。 しかしオールウェイズどや顔の森川和樹の正体を皆は掴めていない。 「俺の正体も掴めないとは、カスだな」 ふいに、僕の前に座っているどや顔の少年、森川和樹は言った。 「は?急にお前、なに言い出してんだ?」 彼は僕の心が読めるのだろうか。 「で、どーすんの?中嶋淋」 どや顔の森川。 みなみに、僕の名前は中島彬だ。人の名前を淋しそうな感じの漢字にしないでほしい。 僕。 中島彬。 科学が発達してこの世に照らせぬ闇などないようなこの時代、恥ずかしくも僕はプリケツ鬼に襲われた。 キスショット・ドヤガオリオン・ホモンティーヌ・ドヤカズキ。 高1の夏休み。 美しい鬼だった。
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