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横女からの帰り。
電車の中。
「いやー、あの子可愛かったな」
座席に腰掛けながら僕は森川に話しかける。
「あの子って?」
「ほら、髪が短くて背が低い…」
「あ~、あの子中1だよぉ」
「マジで?」
「吉口佳奈ちゃんだろ?」
「有名人なのか?」
「違うよぉ」
「知り合いなのか?」
「違うよぉ」
「じゃあ、何で分かったんだよ」
「いや、普通に分かるだろ」
「……お前は何でも知ってるな」
「あ~知ってるよぉ」
あっさりと認めやがった。
どや顔で認めやがった。
「その子のメアド持ってるぜ。いる?」
「持ってんのかよ!」
「その子の目を見つめてメアド頂戴、て言ったらくれた。これはもう告ったようなもんだな。」
「それは告白じゃなくて脅迫だ!」
「いや、まあまあまあまあ。その子ゴミをポイ捨てしてたからさぁ、注意したんだよ」
それをネタに脅迫したのか。
「中1に注意した、みたいな?」
全然上手くない。
そしておもむろに、さりげなく、何気なく、悪気もなく、500mlのペットボトルを座席の背もたれと天板の間に挟もうとする森川。
さっきのポイ捨て云々はどこへいったのか。
「それはマズイだろ」
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