森物語

002

「と、冗談はさておき中島。」
「どこからどこまでが冗談なのか分からないが、それはさておき何だ森川。」
「結局好みなんていうのは、実際好きになってみないと分からないもんだよ。」
好みだから好きになるんじゃなくて、好きな子が好みなんだ、
と森川は続ける。
上手くまとめたな。軽く引くわ。
でも確かに、本当にそうなのかもしれない。僕の好みは清楚な美少女だが、結局好きになるのはただのDBSかもしれない。森川はなんだかんだで幼馴染と付き合うのかもしれない。
想った通りにはいかないのだ。
思い通りには、いかないのだ。
森川にしては、なかなか言うじゃないか。
「まあ好みじゃなくても、可愛かったら付き合うって事だな。」
前言撤回。
どや顔で作り上げた良さげな空気を、どや顔でぶち壊しやがった。
このように森川和樹とい人物は。
どこまでも横暴で。
どこまでも横柄で。
そして悔しい事に、誠に残念ながら、彼はーいい奴なのであった。