不幸すぎる少年

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 『どうしてよそ見なんかしてたんだ!』  『母さんと父さんを帰せ!』  そう、怒鳴りたかった。  だが、その運転手も激突したさいに車が横転。車は、見るも無残に大破し、その時車内から放り出された運転手は、身体を地面に強く打ちつけ帰らぬ人となっていた。  死んだ人に怒鳴っても意味がない。  それ以前にそんな事しても、両親は、帰ってこない。 行き場のない怒りを抱え、ぼくはその日、涙が枯れるまで泣いた。  その時すでにぼくは、不幸な少年だった。 .
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