不幸すぎる少年

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 底知れぬ孤独感と悲しみ。  児童相談施設を断ったのは、いいものも『これからどうすればいいのだろう』という不安感もあった。  両親の死を受け入れるまで、ぼくは、両親の使っていた部屋のベットで毎日寝た。  かすかに残る暖かな両親の香り。それを嗅ぐたびにぼくは泣いていた。  朝起きていつものように「おはよう」と言う。  だが、その返答はなく、ぼくの声だけがむなしく部屋に響くばかり。  学校に行く時も「行ってきます!」と元気よく言うも、返答はない。  わかっていても受け入れられない。  わかっているものの、もしかしたらと変な期待を持ってしまう。 .
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