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「…なつな…夏名…」
誰…?
ウチはゆっくりと目を開ける。
「おい、大丈夫か?」
目の前には隣に住んでる大和(ヤマト)が心配そうに覗いていた。
ウチは風邪をひいてすっかり熱にうなされていて大和の顔が歪んで見えた。
「何か食べるか?」
「いらない…」
「薬飲まないといけないから何か食べろって」
「いらない」
ウチは再び目をつぶる。
こんな日に限って両親はノンキに旅行中。
ウチはゼエゼエ言いながら虚ろな世界の中にいた。
「いらないじゃねぇって!」
「いらない!」
「薬飲めって!」
「苦いから嫌!」
あんな苦いモノ…絶対に飲まない!!
ウチは風邪をひいても頑なに薬を飲まなかった。
「飲め!
夏名!」
「嫌だ!」
風邪をひいて熱があるくせにウチは手足をバタつかせて頑として薬を嫌がった。
「…わかったよ…苦くなけりゃいいんだな?」
はぁ?
苦くない薬なんてあるわけ…。
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