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あれから8年…。
4月
「夏名(ナツナ)!
今日から新学期でしょ!
遅刻するわよ!」
「別に遅刻くらいじゃ死なねぇし!」
だいたい新学期って言ったって、ウチ2年生だし!
「夏名!!」
「行ってきます!」
ウチは思いっきり玄関のドアを開けると…?
「よっ!
遅刻すっぞ!」
幼なじみで隣の家の大和(ヤマト)が嫌な笑いをしていた。
大和は幼なじみだけど5こ上でハッキリした顔立ちでそこそこ背も高いしかっこいい部類らしい。
だけど!
性格は超最悪!!
「朝から最悪!
あんたに会うなんて」
ウチは力任せにドアを閉めた。
「おいおい、ドアが壊れるドアが」
「壊れないし!」
ウチは大和を睨みつけた。
「だいたい、あんた今日からどこで働くわけ?
ってか!
あんたを雇ってくれる会社なんてあったの?」
「当たり前だろ?
このオレをほっておくはずないだろ?」
その自信…。
どこからくるわけ?
「ってか、電車に遅れるんじゃねぇの?」
そう言って大和は腕時計を指さした。
時刻は8時過ぎ。
完ぺきに遅刻。
「あんたが話しかけるからでしょうが!!
ってか!あんたも遅刻じゃん!!」
大和はニヤリと笑うと?
「オレにはこれがあるからね」わざわざ車のキーを見せびらかした。
「送って行ってほしい?」
大和はわざと顔を近づけてくる。
む、ムカツク!!
「『大和さま送って下さい』って、言ってみ?」
益々ムカツク!!
その時。
ガチャ
「夏名ちゃんに大和くん、おはよう」
大和とは反対側のお隣さんがちょうど出て来た。
「おはようございます。
長谷川さん。
今日もお美しいですね」
「まぁ、大和くんったら」
でた!!
大和の裏天使バージョン!!
ホントはそんな事、絶対に思ってないくせに!!
ウチは大和を飽きれ顔で見ていた。
笑顔で長谷川さんに手を振りながら小声で「お世辞だけどね」と、呟く大和。
だから、やっぱり。
コイツは悪魔だ。
「大和の悪魔」
「はぁ?
世間をうまく渡る為の常識だよ。
まっ、夏名みたいなガキにはまだ解らないだろうけどな」
そう言ってポンッてウチの頭に手をやるからつい…。
「触んな!!」
と、ウチは手を払いのけようとしてうまく交わされた。
「…チッ!!」
「ガキ」
なんてやり取りをしていたせいで…。
ウチは思いっきり遅刻した…。
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