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部屋で寝転びながら小説を読んでいたはずが一転、なぜか赤ん坊の姿で生まれ直すという今ですら信じられない経験を経て、高校2年生な私、来栖 藍は高校の生徒会の庶務をやっているわけだけれど。
そんな私にはたくさんの仲間がいるのでこの際、ちょっとだけ紹介してみようと思います。
まず一人目ー。
我等が学園の王様。孤高の生徒会長、片桐央都くん。
うぅーん。さすが王様。凛々しいお顔に、逆三角形な体型。筋肉もそれなりについてて…。うん、男が羨む男って感じ。
今日も眩しいわ、なんて思いつつカメラを回す。…と、さっそく会長がこっちを睨み付けて来た。
「あ゛…?来栖、てめぇなんだそのカメラ」
「気にしなーい、気にしなーい。あんまり細かいこと気にするとハゲちゃうよー?」
「そうそう、ただでさえおーちゃんは後退してってるからねぇ。危ない危なーい」
私の言葉に、双子の弟の蒼が便乗する。あぁ、もうさすが私の弟、会長を貶しながら浮かべる笑顔、プライスレス!
可愛すぎるわー。マイエンジェル…。なんて。
けらけらと2人で声を合わせて笑えば、あっれ可笑しいな。いつの間にかビデオカメラ越しの会長の額に青筋が浮かんでるぞ?
おお?
椅子に座ってたはずの会長が立ち上がって?
そしてこっちに寄ってきて…右手を振り上…
「「うわっ!?ちょ!かいちょー暴力反対!!」」
「うっせぇユニゾンすんな。あとそのカメラ寄越せ」
「やーだよー!かいちょーに渡したら絶対に壊すもん!」
「もん!」
「てめぇらに俺の映像を撮られてると思うと不安で仕方ねぇんだよ!」
怒鳴るように叫んだ声は迫力があるけど、その前に若干、悲壮な感じがした。
まぁ、確かに客観的に見て、私達に映像で姿をとられるのは危険でしかないだろうなー。なんて。
去年、蒼と協力して行った悪戯の数々を思い出す。
…うん、会長の焦りもなんとなく理解できた。本当ごめん、会長。こんな問題児で。
「「しょうがないなー。今回はおーちゃんに免じて映像は消してあげるよー」」
きっと蒼も同じことを思ったんだろう。
息を合わせずとも重なった台詞に、私達はふっと笑いあいながら、先ほど撮った会長の映像を消した。
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