prolog

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私は…なんでここにいるのだろう。 暗い暗い。しかし暖かい水の中で、目を開けてもなにも見えず。 身体も自由に動かせない。 ここに至るまでの前後の記憶が曖昧で思い出せない。 私は、小説を読んでいたはずだ。携帯で読む、素人が書いたBL小説。 それを読みながら、やっぱり会長受けは最高だとかニマニマして。 …、その後は? 分からない。 分からない。 怖い怖い怖い怖い。 実際には動かなくとも、気持ち的には自分を抱きしめるように腕を動かして自分を守る。 …すると、 水が、なんだかどこかに流れるように消えていく。自分もその流れに飲み込まれるように引っ張られて。 痛い、痛い痛い痛いっ! 頭がぐちゃぐちゃになるような痛みに泣きそうになりながら飛び出た先にあったのは光。 眩すぎる光の中で、大きな巨人が、その大きな手で私を持ち上げる。 お前は誰だ。そう言おうとして口から出たのは 「おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ!」 まるで赤子のような、泣き声だけだった。 (元気な男の子ですよー)(……あれ、なんか状況分かってきたぞ。どうしてだろう。涙が止まらない)
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