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部屋で寝転びながら小説を読んでいたはずが一転、なぜか赤ん坊の姿で生まれ直すという奇跡的な体験をして、それから赤ちゃんプレイという羞恥にまみれた日常を送りつつ。
迎えたのは高校の始業式。
それも全寮制男子校で金持ちの坊ちゃんばかりが集められているという、まさにいつかの自分が読んでいた小説と合致した高校だ。
(ついに来るか、原作が…)
男に生まれたと自覚して早くも17年目。
来栖家の長男・藍として生まれ、双子の弟に蒼がいることから、自分は小説の中の登場人物に成り代わったのだということはとうに理解していた。
…が、原作が始まると思うとなんだか憂鬱な気分になる。
「みんなおはよーっ!」
沈みがちな思考を振り払うように、壇上から笑って明るく挨拶すれば、男の茶色い声援が返ってきた。
……うん、みんな相変わらず性欲が溜まってらっしゃるようで何よりです。元気なのはいいよね、うん。
でも抱かせろって叫ぶのはちょっとモラルとしてないんじゃね?
一応お前らいいとこの坊ちゃんだろうよ。
170以上の身長でありながら甘い顔立ちな自分がネコにもタチにも人気があるのは自覚済みだが、やはりできることなら遠慮したいものだ。
いくら元女でも、ね。
この男子校特有のノリは怖いんですマジで。
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