そよぎ

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ガリガリ殿というヤツが2本。 棒アイスだけどかき氷みたいな食感なので砕いて三等分すれば十分食べれるだろう。 「あおいがやるー」 「はいはい」 無邪気にアイスを取り出しにっこり笑う。 ぼくにもこんな時期があったのかな、と苦笑いする。 見ればそよぎも妹が可愛くて仕方ないらしく、目をにっこりと細めている。 あおいはパッケージを破りながら歌をうたう。 「串に刺さってだんごー」 「なんでよりによってそれ?」 「これはなー、中のいい3きょうだいの歌だからー」 ふ、とぼくも自然と笑みがこぼれた。 そうか、そうだよな。 「あー、やっぱりぼくはいいや、二人で1本ずつ食べな」 「え? な、なんで?」 「なんでもいいだろ。 ガリガリ殿はあんま好きじゃないし」 こんなことを言いたいわけではないのに、でも本当の気持ちなんか恥ずかしいし気持ち悪いから絶対言えない。 ぼくは年上だから、可愛い妹たちに譲るのだ。 当たり前と言えば当たり前。 そんなこともぼくは忘れていた。 そよぎはしばらく不思議そうに、何か考えるようにぼくを見つめていた。 しかし、ふっと微笑むと、もう1つのアイスを手に取り 「じゃあ、もらうね。 ありがとう、・・・お姉ちゃん」 「・・・おう」 言葉にしなくても伝わってしまうのはやっぱりずっと一緒に過ごしてきた絆だろうか。 「いい話だなぁ」 あむあむとアイスを頬張りながら親父くさくあおいがつぶやくと、ぼくたちはどちらともなく笑いあった。 「スネ折ってごめんな」 「うん、雰囲気に乗せてもそれはゆるさねーぞ」 「やっぱり?」 「食べる?」 食べかけをぼくに差し出す。 「いらない」 「素直じゃないなあ、食べなって」 「いーらーない」 「そー、じゃあも知らない、あ」 「?」 ふふ、といたずらっぽく笑ってそよぎは食べかけのアイス、その半分くらいがあらわになったハシを見せた。 『あ』 「あ、もしかして」 『た』 「ほら、やっぱりお姉ちゃんも食べなきゃね?」 ら ・・・・・・・・・・・ら? あたらしい明日へ。 選挙ポスターか!!!!
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