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「はい、じゃあ明日から中間テストなんで勉強しっかりねー」
担任をかたる女が馴れ馴れしくそう告げるとみんなはようやく訪れた放課に思い思いに席をたち、教室を後にしていく。
ぼくは1日の疲れを労うように太ももをポンポンと叩いて席を立った。
と、こちらに歩み寄ってくる、生徒の服装をした何者か。
「ひなたお疲れ、やっぱり空中イスで1日は疲れるよね」
「おお、誰かと思えば友人のやうこじゃないか」
「ようこだから。 古文的に表現するのやめろや。あとなんで説明口調?」
「ぼくは新雪だから」
「いや、漢字がちが・・・」
「こなーーーゆきーーー!!!!」
「ふるっ」
「確かに1日空中イスは疲れるね」
「唐突に話もどすね」
時代はエコ。
エネルギー削減のためにこの新設の学校の取り組みとして机、椅子を導入しないというものを採用している。
だから空中イスに空中机。
机で授業を受けながら足腰もきたわるという革命的な手段である。
当初は校舎もエコのために無かったのだが、さすがにPTAから反発を食らって建設された。
さらに教科書も資源節約のために無かったのだが、それだと野外で一日中、中腰でプルプルしてるだけの集団になってしまうので校舎より先に導入された。
しかし机と椅子だけはいまだに無いままである。
それは校長の方針らしい。
「健全な魂はたくましい肉体に宿るものです。 尻を浮かせたままで足腰を鍛え勉学に励むことで、身も心も誠実な人間になるのです。 私はそうやってきて、こうして立派な人間に育ちました」
こんなことをなにか集会なんかがある度に語っている。
まあでも、先月子どもに淫らな行為をしようとして捕まったので近々机と椅子も導入されるだろう。 新しい校長のもと。
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