転校生は…

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「照彦、襟の付いた服着ろよ」 父にそう言われ2階の自分の部屋に戻る。 襟の付いた服なんてポロシャツしか持ってない。 その中からタイトめの白いポロシャツと黒いズボンを合わせた。 「おかしくは、ないよね?」 姿見を見ながら鏡の中の自分に確認する。 もちろん返答が返ってくる訳ではなかったが、父の気合の入った格好の邪魔にはならないよう自分に言い聞かせたようなものだった。 リビングに下りると父は少し慌てたようにタンスの引き出しを漁っている。 「何探してるの?」 「おお照彦、ハンカチとあと外行き様の時計どこだ?」 もし僕が家を出たら、この人生活できるのだろうか・・・そう思わずにはいられない。 「いいよ僕が準備するから。お金とか大丈夫なの?」 「お金は大丈夫だ。カード使うから」 どうも様子が変だ・・・ 異様に慌ててるし、心ココにあらずの様に落ち着きが無い。 そんなに敷居の高い様なレストランじゃなくても良いのに・・・ そう思いながらも、始めて行くような場所に僕も内心ドキドキしていた。
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