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エレベーターを降りるとそこは一面ガラス張りの薄暗いところだった。
大きなフロアに広い間隔で贅沢にテーブルが並ばれている。
ガラス張りの外はこの街の全てが映し出されているかの様な夜景のパノラマが拡がっていた。
父の進む後を離れないように付いて行く。
この場の緊張のせいか頭の中は真っ白になって思考が止まっていた。
ウェイターに案内された席に父が座り、慌てて僕もその隣に座る。
あれ・・・?
自分達の座った席の向かい側にも人が座っている。
こう言う高級レストランでは見知らぬ人同士が相席し食事を楽しむのだろうか?
「遅れてしまってすみません」
そんな訳ないか・・・どうやら父親の知り合いのようだった。
「大丈夫ですよ。こちらこそ申し訳ありません。まだ娘達は来てなくて・・・あ、来たみたい」
向い側の女性は僕の後方に向かって手招きをした。
後ろから足音が近づいてくる
少し俯き、小さく深呼吸するように息を吸った。
僕もようやくココの雰囲気に慣れつつあって落ち着いてきたみたいだ。
向い側のイスが引かれた音に顔を上げた。
「・・・・・・・・・!?」
まさか・・・
そんな筈は無い・・・
何で目の前に・・・
神崎 雪が・・・
再び、胸の鼓動が高鳴り、同時に頭が真っ白に染まっていく
何で・・・?
どうして・・・?
何がどうなって・・・?
目の前にいる神崎 雪がそこに居る事が信じられない。
まさか夢?
どの辺りから夢?
コレが夢なのか現実なのかも分らなくなっていた。
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