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「綾香さん。コレが息子の照彦です」
訳も分らずコレ呼ばわりで紹介された相手に反射的にお辞儀をする。
「照彦。こちらが神崎 綾香さん、そしてそのお嬢さん雪ちゃんに雫ちゃんだ」
彼女に気を取られていたが、隣にも彼女に負けず劣らずの可愛い子が座っていた。
い、いったい何が起きているのだ!?
父親を見るとデレデレと顔を歪ませていて僕の困惑にも気付きやしない。
「明日の引越しは大丈夫ですか?」
父は綾香さんと紹介された彼女の母親に確認していた。
引越し・・・ああ、父が引越しを手伝うって事なのか?そう言えば大昔に運送会社で働いていた事を聞いた事があった。
「ええ、業者には頼んでいますので10時頃でよろしかったんですよね?」
あれ?父が手伝うって事じゃなかったのかな?
「ええ、大丈夫です。待ってますので」
・・・?
そんな引越しの段取りの為のお食事会なのか?
いよいよ、本当に頭が混乱してきた。
「ねぇ父さん。いったいどう言う事なのか説明してくれない?」
耳打ちするように小声で父親に確認する。
もうこの状況を自分の頭で推理して処理する事は不可能だと判断した。
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