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一瞬教室がシーンと静まり、みんなが担任の方を向く・・・
が、そんな青筋などお構いなしにまたガヤガヤとざわめいた。
「もう転校生なんか紹介してやんないんだから!!隣のクラスに譲っちゃうんだから!!あんなにカワイイ子なのに!!」
青筋は消え、変わりに涙が滝のように流れ出した担任、河合美代子32才はいじけた様に言い放った。
「グスッ・・・グスッ」
鼻を啜らせ涙を拭った担任の目の前には姿勢を正し、ピシッと背筋を伸ばし座っている男子の姿があった。
「や、やっぱり教育は情熱なのね・・・美代子ガンバル!!」
先生・・・違うよ
カワイイ子ってワードにみんな反応したんだよ。
とは誰もツッコまない。
「じゃあ紹介するわね。神崎さん入ってらっしゃい」
担任の呼びかけにドアが開く。
みんな(男子)はそのドアの向こうをガン見しながら動けなくなっていた。
「さぁさぁ、神崎さん挨拶して」
ココは小学校だろうか?担任の対応に少し疑問を感じてしまう。
「秀徳学園から来ました。神崎 雪と言います。よろしくお願いします」
ペコリと下げた姿、真っ白な雪の様な白い肌に緊張の為か微かに紅に染まる頬…
「神崎さんは一番後ろの席ね」
担任の言葉にゆっくりと教室の真ん中をまるで聖者が歩くかの如く滑らかにその長い艶のある髪を軽く揺らしながら足を進める。
彼女が通った僅かな道は、まるで光が灯ったかの様に淡く輝き、ほのかな香りが漂ってきた。
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