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さっきまで騒いでいた筈の根源がすぐそこにいるのに教室はまるで神の御告げを待っているかのような静寂に包まれている…
ようやく席にたどり着いた彼女の座るまでの所作を決して見逃してはいけないと、みんな(男子)の視線は瞬きを忘れたかの如く見開いていた。
立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花…
この世にまだ大和撫子と言うモノが存在するので在ればそれは目の前の彼女なのかもしれない…
「なげーよ!!解説なげーって!!テル、要はアイツに惚れたって事だろ?」
「ぼ、僕はみんなの気持ちを正確に表現したダケだよ」
ハルちゃんはニヤニヤ僕に笑みを向け
「俺に任せろ」
と言ってきた。
ヤバい!!ハルちゃんの暴走が!?
ほっとけないサービス精神旺盛な心優しき友達想いと本人は思っているのだろうが、ハルちゃんの行動は逆に僕に災いをもたらすだけの厄日仏滅13日の金曜日をググッと一つに固めた塊の様なものなんだよ!!
「よ、よけーな事しなくていいから!!」
ハルちゃんに釘を刺し、チラッと一番後ろの彼女を盗み見る。
「・・・!?」
ハッと慌てて正面に直った。
今・・・彼女が僕を見ていた・・・
単なる自惚れの勘違いの可能性は高い、地味で目立たない僕を彼女が見るはずは無いのだ・・・
そして隣の席のハルちゃんを見て肩を落とす。
金髪で目立つし・・・それにカッコ良い、そう・・・ハルちゃんを見ていたのだろう、きっと・・・
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