169人が本棚に入れています
本棚に追加
道の真ん中で一匹の蜘蛛を見つけた。
そいつを片手で拾い上げる。
「こんなところにいたら危ないぞ」
そう呟いて、道脇の草むらに放してやった。
「まったく、おっちょこちょいな奴だな。もう道の真ん中なんか歩くなよー」
生い茂る雑草の中に消えていくのを見届けてから、俺はまた歩き出した。
行く宛は特にない。
気の赴くままに道を進む。
俺はこうして街をのんびりと歩き回るのが好きだ。
心地よい風が頬を撫で、木のざわめきや鳥のさえずりが耳をくすぐる。
いやぁ、それにしても今日は天気が良い。
最初のコメントを投稿しよう!