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「礼なんていらない。助けられなかったからな」
「確かに我が子は命を失いました……。ですがあなたは我が子の為に彼らに抗議してくれました。これであの子も少しは救われるでしょう」
二匹のアゲハ蝶は泣いていた。
鳴き声を聞いたわけじゃないし涙を流したのを見たわけじゃないけど、俺にはなんとなくわかった。
これもインゼクティアの王の力なのだろうか。
「お墓、作ってやるか。このままじゃ可哀想だからな」
「ありがとうございます」
近くの地面に穴を掘って幼虫を埋めてやる。
アゲハ蝶たちはその様子を最後まで見守っていた。
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