2匹目

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「これでよし」 「何から何まですみません。私たちではこの子に何一つしてやれなくて」 蝶のか細い足では穴を掘ることはできない。 またアゲハ蝶の幼虫は体が大きい上に重く、成虫の力では持ち上げることは難しい。 もどかしそうにしているアゲハ蝶たちを見るといたたまれない気持ちになった。 「せめてこれだけでも」 一匹のアゲハ蝶が花を作ったばかりの墓に手向けた。 どうやらこっちが母親のようだ。 「じゃ、俺はこれで」 「あの! つかぬ事をお聞きしますが、幼虫をもう一匹見かけませんでしたか?」
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