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だが、ゼルが木刀を視界に入れることは叶わなかった。
跳躍したゼルの胸ぐらを、ナツハが能力で下方向の引っ張ったため、ゼルはこうべを垂れるように頭から着地?したのだった。
「下手にジャンプしない方がいいわ。空中なら少しの力でバランスを崩せるのだから」
ナツハが涼しげに、まだ倒れているゼルを睥睨しながら言い放った。
そして、いまだ動かないゼルの頭めがけて、ゴルフのスイングよろしく木刀を振るう。
「うおぉい!?容赦ねぇな!?」
跳ね起きるようにその木刀をかわすと、ゼルは驚愕に声を上げる。
「倒れながらこっそり木刀をかすみ見ようとするその根性を、叩き直そうと思ったのだけれど」
はずれちゃったわ、と、至極、残念そうに言うナツハ。
「いやいや、今のはマジで背中が冷やっとしたぜ」
そういうゼルの顔は確かに青ざめている。
「あら、どうしたの?顔が悪いわよ?」
「ひどっ!?確かにかっこ良くはないけども!」
「失礼。顔…顔つき…じゃないわね。かお、…顔色……頭が悪いわよ」
「顔色だ、顔色!途中出てきてただろうが!」
「間違ってはないじゃない」
「ない、ないけども!」
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