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扉の一歩手前まできたところで俺は振り向く。女神様(貧乳)は相変わらず椅子に座ってこちらを見ている。
「なあ、俺が死んだらまたここに来るのか!?」
距離が離れているので、叫ぶような形になった。
「…何を縁起でもない事を。…残念だけど、二度目はないんだよ~。次に死んだら意識する事もなく次の輪廻に呑まれるだろうさ。あと、別に叫ばなくてもここは現世じゃないから声は届くよ~」
「…そうかい。じゃあ、もう会う事はないってことになるのか?」
「うん。僕と君はここで出会ってここでお別れさ。…なぁに?寂しいの?」
「んなわけあるか、って言いたいところだけどちょっぴしな。…そうか。じゃあ、またな、は言えないな。なんていうか、ありがとう。行って来る」
そう言って扉の方へ足を踏み入れる。
「ダイキ!!」
そう声が聞こえた。それが自分の名だと呼ばれた記憶もないのにすぐ分かった。
「そういや、それが俺の名だったな。というか初めて名前、呼んだな」
「そう?まぁ、それよりね、最後に伝えなければならない事があったんだった」
「なんだ。また言い忘れかよ?」
「うん。重要な事なの」
「ハイハイ。なんだ?」
「…君の母親は、君の事を…とても愛していた」
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