第二章 能力とやら

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まぶた越しに網膜に光が届く。 「んっ…」 それが眩しく感じて俺はゆっくりと目を開けていった。光が目に入ったり、入らなかったり。明滅しているのかと思ったが、違うようだ。 ザザァと風で木の葉がゆらめく音が耳へ。目は未だ光に対応できず、霞む様に、痛む様に、しびれる様に感じた。 やがて焦点が会うようになると、光の明滅が、日の光の木漏れ日によるものだと理解できた。 とりあえずあたりを確認しようと、手をつき体を起き上がらせようとする。 「ありっ?」 が、支えようとしていた手がくずれ、再び地に伏す。幸い、枯れ葉のクッションでバサッと倒れこむだけだった。 髪の毛に枯れ葉がついているんだろうな、と考えながらもう一度手をつき、今度はゆっくりと体を起き上がらせる。 今度は倒れこむこともなく起き上がれたが、意外と神経を使う作業だった。というのも、体に意思が上手く伝わらないようで、無意識的に体を動かすことができなかったからだ。 身体の節々もどうも鈍いようだ。長らく身体を使ってなかった人がいきなり動かし始めたらこんな感じなんだろうな、と漠然と思った。 しばらく身体の部位をほぐすように動かしているとそんな違和感も消え、思うように動かせるようになった。もしかしたら一度死んだことによる弊害なのかもしれないな。
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