第二章 能力とやら

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その方向に目を向けると、鎮火したのか、なんの変哲もない自分の手と、先ほどまで立っていたであろう木が半ばを折られながら、吹き飛んで燃え盛っている光景が見えた。 「…」 なんだろう?あれではまるで俺の手が当たったせいで、吹き飛んで燃えているみたいじゃないか。 と、木が燃え、爆ぜる音がする。我に返ると火が次の木へ燃え移るところだった。 「みーーーずぅうぅぅぅ!!!」 パニクった俺は、水水水と連呼しながら水玉を作り出し、炎へとぶつけまくった。 辺りには焦げた臭いが漂う。なんとか山火事にならずに済んだ。遭難死じゃなく焼死するところだった。 先ほど咄嗟に水を出したが、動きは自在に操れるようだ。大きさは…手のひらサイズだったが。 それから一通り属性を変えてやってみたが、全てに共通して手のひらサイズだった。 そういえば、さっき手が燃えていたのに、手には一切の外傷がなかった。痛みも熱さも今振り返れば感じなかった気がするし。 試しに水の玉を出し、手で触れてみる。…火でやらなかったのは万が一のためであって、決してビビった訳ではない。次善策を取るのは当然なんだ。俺は馬鹿じゃないからな。もう会う事のない神様にヘタレと言われそうだったので、心の中で弁明をしておく。
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