第二章 能力とやら

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「やっぱ、使うの怖いんだけど…」 ボソッとつぶやいてみても、反応を返してくれる者はいない。とにかくさっきの世界が崩壊する理由でも検索してみる。 『地面が星の重力に負けず、その位置を維持しているのは星が外に膨らむ力があるためです。これらが拮抗して現在、星はその形を保っています。よって、今回、重力より地面からの力を優位にした場合、星は重力に勝ち、風船が弾けるように爆発します』 ぞぉぉ。危うく星を爆発させるとこだったのかよ。危険すぎるよこの力。 木にもたれかかって、ため息をつく。と、木々のざわめきに混じって、水が流れる音が聞こえた気がした。 …川だろうか?そう思い、耳を澄ますと確かに聞こえる。川の位置って分からないのかな、と、駄目元で[全知]で検索。 『音源から特定。方位と距離を算出します』 おぉ、分かっちゃうのか、このかすかな音で。と、[全知]の意外な利便性に驚く。 川といえば、確か山を降りるときは、川の下流へ向かうのがいいと聞いたような。水源だし、近くに集落があるかもしれない。 [全知]が算出した方向へ向かうと(距離計算も自動で行われていた)川が見えてきた。 川の流れはゆるやかで対岸までの距離もそんなに離れていない。川を覗き込むと深さも渡れないほどでもない。いや、渡るつもりもないんだが。
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