第三章 テンプレとやら

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どうやら盗賊に襲われたというパターンのようだ。服装から怪我している男2人が騎士か護衛のようで、女性が侍女、守られている少女が貴族といったところだろうか。 [全知]で検索すると、予想通りのようだった。どうやら不意打ちをされたらしい。倒れた男性はまだ息があるが、おそらく命が危ない。 だが、どうする?俺に誰かを守りながら20人と戦う技量はない。肝心の[平衡崩し]も、 『使用許可できません』 である。くそっ。取り敢えず火を右手に纏い、攻撃できるよう準備する。だが、駆けて出て行ったところで寄ってたかってなぶられるのがオチだ。 思いを巡らせていると、盗賊の頭目がうずくまる騎士に近づいて何やら話をしているのに気づく。 「だからよぉ、お前は身ぐるみ全て置いて行けば逃がしてやるっていってんだよぉ」 「…賊の言葉など信用すると思うのか。何より俺を逃がしたとしても彼女らを逃がす気はあるまい」 「へっへっへ。あんな上玉、逃がすわきゃねぇだろぉよぉ。売るにしろ、犯すにしろさぁ」 盗賊達が侍女と少女を舐めまわすかのように視線を送る。2人は震えつつも、気丈に睨み返している。 俺と盗賊達の距離はまだひらいていて、聞こえてくる言葉も断片的なものだが、そこは[全知]でカバーして聞いている。
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