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「ならばなおのこと、お前達の好きにさせられないな」
よろよろと立ち、剣を構える騎士だが、それだけで一杯一杯なのが、遠目でもわかってしまう。
3人の盗賊達に一斉に迫られ、剣は弾かれ、足をやられ再び地面に膝をつける。
手負いの人間を複数で狙うとか、卑怯だが、慢心がない。命を奪うのも躊躇しないだろう。
駄目だ。圧倒的力を持ってないと俺みたいなヒヨッコじゃどうしようもない。
『索…を……知』
頭目が騎士に向かって剣を振り上げる。
「なら、残念だが、さようなら、ってやつだ、な!」
剣を容赦なく振り下ろす動作に俺は飛び出そうとし、
金属がぶつかり合う音が響く。
いつのまにか現れた少年が柄も刃も深い紫の槍で頭目の剣を止める。そのまま、剣を押しやると、体勢を崩した頭目の腹をなめらかな動きで蹴り飛ばした。
…俺ですか?完全に出るタイミングを逃しました。今も絶賛、隠遁中です。出ていくのをためらったわけじゃないよ?牽制に雷球を飛ばそうとしたところだっただけだからね?
[全知]で少年の正体を探る。…案の定、転生者…だ。どうやらこれは俺のイベントじゃなく、あいつのイベントだったようだな。
「何者だ、お前は?」
咳き込みながらも頭目が起き上がる。さすが頭目、と言いたいが、もうフラフラだ。
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