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「本当だって。助けようと思ったけど、出るタイミングを逃しちゃったんだって!」
「…」
沈黙が痛い。どうやらすでに遅し、といった状況のようだ。俺はため息をつき、だらんと両手を下げる。
「じゃあ、好きにしろよ。俺は丸腰だし、お前の槍なら一瞬で片がつくだろ?」
どうやら鎮圧用だし、死にはしないだろう。刺さるのはマジ勘弁だが、それは防いで、音で失神してしまおう。
「で、俺のことよりもそこの騎士さんを助けるほうが先じゃないのか?」
取り敢えず、正論を振ってみる。
「なにを…。お前達のせいだろうが!」
負傷した騎士さまの怒りを買ったようです。俺はやってないのに。
「で、どうすんの?早く治すか、医者に連れて行ったほうがいいと思うよ」
「くっ、できるならとうにやっている!」
騎士さま叫びすぎでフラフラ。結構、深手だしね、この人も。侍女さんが布で手当してるけど、あまり意味をなしてないようだ。
「…君は何か治癒とかできないの?」
転生者の少年に聞くが、少年は頭を振る。[全知]で少年の能力を確認するが、どうやら戦闘特化の能力ばっかりのようだ。転生者も万能じゃないのね。
「近くに街は?」
あの少年の身体能力ならば、すぐ医者のところまで着けるし、俺も知りたい情報だったので聞いたのだが、
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