第一章 神とやら

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「悪い。最後の能力がイマイチ分からんかった。平衡ってなにさ?」 「ん~、そうだね。例えば、コップの中に水が入ってます」 そういうとどこからともなく少年?の手に水の入ったコップが現れる。 「おお~、スゲえな」 「これはまだ本題じゃないよ」 「お前が神だっていうことを俄然信じられる気がして来た」 「いまさら~?まあ、それはおいといて。さて、今、コップの中の水はどういう状態でしょうか?」 「どういうって…なんも変わらない、いや、蒸発してる…かな?」 「ふふ~ん。引っかからなかったか~。と言いたいとこだけど残念。ハズレ~」 「やっぱり変わらないってことか?」 「ん~ん。蒸発は正解だよ。半分ね」 「半分?」 「そ、半分。正解は蒸発と凝縮が起きているんですよ~。凝縮っていうのは、冬に窓についている水のように気体から液体へ変わること。蒸発の逆ってことかな、簡単にいえば」 「じゃあ、今、水は液体から気体に変わったり、気体から液体に変わってるということか?」 「そうだよ~。そのうち水が液体から気体に変わる方が早いとき、僕たちの目には蒸発しているように見えるんだよ~。こういった逆の反応が同時に起こるときはすぐに一定の状態に落ち着くのさ~。コップを見てて水が増えたり減ったりしないでしょ~。だいたいの環境では水は減る方向しか起きない。この状態を平衡していると言うのさ」
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