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「ま、助けられたのは事実だ。あんたにも感謝してる」
青年を象った神は変わらず微笑を携え無言で頷く。
「それに俺だってあんなの見せられて何とも思わないほど人間として腐ってない、はず」
お互いに呆れたような微笑を浮かべる。
言い訳。真琴にすらもうこれからの展開は理解出来ている。ただ事態を理解したくないという自分自身への言い訳をただつらつらと並べていく。
「これは多分だが、俺が助けられた時も同じなんだろ? こんなふうに別の世界からやって来た奴が知らぬ間に助けてくれて、微かな思いで以外痕跡を残さずにいなくなる」
今の真琴にはもう誰がどのように助けてくれたのかは思い出せない。
ただ暖かい声と、助けてくれたという事実のみが残るだけだ。
「なら、その誓約、守ろうと思う。俺ニートだし何も出来ないかもしれないけど……やるよ」
我ながら馬鹿なことを言っていることは感じていた。大学に行けずに不摂生な生活をしてきた未成年に何が出来るというのだ。
それでも、これは真琴の下した決断なのだ。
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