一章 神は“主人公”を選ぶ

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 神は、それらの決意を聞いた上で、何事もなかったかのように話を続ける。 「では次に具体的な算段ですが……あなたには私の力の一部、微力ではありますが平行世界――俗に言う三千世界を統括する力を貸しましょう」 「いいのか? 俺ただの人間かそれ以下だぜ? そんな化け物地味た力なんか貰っちゃって」 「化け物とは心外です。まああくまでも一部、ですからね。それ単体で世界を改変するほどの力はありませんよ」  つまり、この神とやらは思った以上に真琴を信用しているらしかった。この道化のような笑顔の男の話をまとめると、限られた力であの世界をどうにか救ってくれ、ということになる。  初めて人(正確には人ではないが)から期待を寄せられた真琴にかなりのプレッシャーがかかる。  そして追い討ちをかけるように神は一言、 「我々……おっと、私はアナタなら、必ず出来ると確信しています」  何か誤魔化したようなのが気にはなったが、こうもあからさまな期待を口に述べられては緊張しない方が無理だった。
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