二章 魔という存在

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 じり、とにじりよる真琴と指揮官。  機を見て指揮官は叫ぶ。 「聞け! 偉大なる魔王様に仕える忠実な僕たちよ! 今から行われる惨劇を見よ! 我らが魔王様のご意志に反する者の運命を!!」  指揮官は決して奴隷という言葉を使わない。彼ら奴隷たちに偉大なる魔王の僕という枷をはめることで、志気を無理やり向上させる。  奴隷たちの中には人間でありながら、魔王を崇拝する者も少なくはない。  そして、叫ぶと同時に指揮官は高く跳び上がり、上方から鞭を振るった。手で持っていた時からは考えられない長さに伸びる鞭に、真琴は慌てて避けようとする。  しかし、 「痛っ!? ちょ、え!? 痛すぎ笑った!!」 実際には一ミリも笑ってはいないが、混乱のあまり素が面にでる。 ――ホーミング。  ゲームなどでミサイルによく付いているあの機能だ。使う分には申し分ない働きをしてくれるのだが、使われるとなると一転して厄介な存在となる。  伸縮自在、ホーミング付きの鞭。 (詰んだな。最初のボスがここまで強いとかどうしろと)  打たれた左腕を庇いながら必死に指揮官から距離をとる。
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