二章 魔という存在

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 真琴たちは鉱山の洞窟の奥深くへと走っていた。  逃げ出すなら外へ出なくてはいけないのだが、外は魔物に見張られているため逃げられないのだ。 (まさか本当に助けてくれるとは……しかも女の子。女の子。女の子と手をつないだの初めてなんだが)  予想外の展開に予想外のイベントまで重なって真琴は口を開くことが出来ず、ただ手を引かれるまま走っていた。  後ろ姿から詳しくは分からないが、歳は真琴と同じかそれより下ぐらい、埃や砂が被っているが綺麗な茶髪が肩下までなびいている。  全ての奴隷たちが上に集まっていたため洞窟内はかなり静かで、二人の息遣いの音だけが響いている。  気付いたら奴隷だった真琴には知らないような場所をいくつも通り過ぎ、水の音が聞こえる所まで辿り着いたときようやく前方の少女は足をゆるめる。  追っ手が来ていないあたりをみると、まだ上でてんやわんやしているようだった。
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