二章 魔という存在

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 準備と言っても縛り付けていた鎖を外すだけなのですぐに終わる。 「速く入ってください! 魔物たちがもう来ます!」  少女に呼ばれ真琴も慌てて箱の中へと身を投じる。  ポジションを確定させると少女も隣に座り込み、しっかりと蓋を閉める。 (狭い……隣の少女の体温が伝わってきて……これはヤバい!) 「あっ――ちょ、ちょっとあんまり動かないでください!」 「す、すみませんすみません」  箱の中では真琴が絶体絶命なのだが、箱はゆっくりと動き出す。  ついにここからおさらばできる、そう二人が思ったその時。 「いたぞあの箱船だ!! 魔法部隊、一斉に火炎呪文で沈没させろ!!」  箱の中にもしっかりと指揮官の声が響いたかと思うと、今度は恐ろしいほどの爆音が響きわたる。  それもそのはず、水辺からはこの鉱山の魔物二十体全員が各々火炎呪文を立て続けに放っているのだから。  それら全てが箱に当たり、大爆音とともに煙が充満する。
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