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真琴の言葉に、男は微笑む。いちいちイケメンなものだから真琴の目には毒以外の何物でもない。
「それを聞いて安心しました。私の思っていた通りあなたは――おっと、これを言うのは些か野暮というものでしょう」
そう言って立ち上がると、真琴に付いて来るように促し、その異質な空間の唯一の扉に向けて進んでいく。
慌てて真琴も立ち上がるが、いつの間にか先程のテレビが消えていることに気付く。
いよいよ夢か現か分からなくなってきたが、今はとにかくあの男に従うしかない。夢であれば好き勝手してもいいのだろうが、あの男には何故だか逆らえないオーラみたいなものがあった。
無機質な冷たい扉を男に続いて抜ける。次の部屋はまたしても同じような空間――ただし異様な機械のようなものがあることを除いて。
「……何ですか何なんですかこれ」
無意識に真琴の口から言葉が漏れる。
黒い立方体状の大きな箱。真琴の身長のゆうに三倍はあり、天井スレスレで部屋の中心に設置されている。
それだけでは何なのかわからないのだが、その箱から鳴り響く重苦しい機械音が、何らかの装置であることを知らしめている。
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