俺の恋

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生きているというのに存外静かなものだ。 よーへーは相変わらずで、部長も相変わらずで。変わったのは二人の間の会話が減ったくらいだ。(それも少しだけ) 僕を好きだと言った人。 僕が好きになった人。 チクチクと針を進ませながら二人の横顔を見ていた。火曜日だ。あれから一週間も経っていたない。 二人は向かい合って(しかし机二つ分の間があって)通信ゲームをしている。 よーへーはまだしも部長は珍しい。手こずってるのか眉間にシワができていた。 (可愛い) 可愛い可愛いとホクホクしていると、邦と呼ばれた。 一応裁縫部の、けれどその他の先輩だ。名前は未だに知らない。興味がない。 「お前そろそろ俺らの名前覚えたかー?」 からかうような声音。僕は正直に応えた。知らない、と。 いつの間にか部員は僕とその他先輩とその他同級生、部長とよーへーだけだった。
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